ガイド一覧に戻る

DeepSeek Harness とは?dsh プラグインで拡張できる DeepSeek コーディングエージェント

DeepSeek Harness(dsh)とは、DeepSeek のオープンソース コーディングエージェント基盤です。「すべてがプラグイン」の設計思想、プロファイル・パッチ・プリセット・4 つのモードをわかりやすく解説します。

最終更新: 2026-08-18

TL;DR

DeepSeek Harness ―― 略称 dsh ―― は、DeepSeek が開発者プレビューとして公開したオープンソースのエージェント基盤(ハーネス)です。モデルを「ファイルを読み、コマンドを実行し、Web を検索し、長いタスクをやり遂げるエージェント」に変えるための層で、公式の説明は一文に集約されています。

Agent = Model + Harness.

モデルが脳で、ハーネスが体です。ツール、権限、セッションの記憶、そしてエージェントを動かし続けるループを担います。そしてこのハーネスの核心となる思想が 「すべてがプラグイン」 ―― モデルアダプターも、ツールも、UI も、メインのエージェントループ自体さえも、すべて交換可能な部品になっています。

Node.js 環境があれば、2 コマンドで試せます。

npm install -g @deepseek-ai/dsh
dsh --profile web

あとはブラウザで開いたページに DeepSeek の API キーを貼るだけです。環境変数にキーがあればその手順も不要です。問題が起きたら github.com/deepseek-ai/deepseek-harness を参照してください。

「DeepSeek 版 Claude Code」ではない

いちばん近い比較対象は Claude Code や OpenAI Codex ですが、dsh は形の違うプロダクトです。Codex は完成品のエージェントを提供しますが、DeepSeek Harness が提供するのは 自分で組み立てるエージェントランタイム です。ローカルの Codex や Claude Code をサブエージェントとして呼び出すことさえでき、それらを置き換える必要はありません。

違いは 3 点に表れます。

  1. すべてがプラグイン。 ツール、モデルプロバイダー、承認ポリシー、セッションログ、サンドボックス、エージェントループ、Web UI ―― すべてプラグインです。プラグインを外せば、それが登録したものはすべて取り除かれ、残骸は残りません。
  2. リプレイ可能なセッション。 すべてのセッションは追記専用のイベントログです。ユーザーのメッセージ、モデルの出力、ツール呼び出し、注入されたコンテキスト、サブエージェントの動作まで記録され、同じイベントストリームから再開・分岐・検索・リプレイができます。
  3. 自分のエージェントを作れる。 Creation モードでは「読み取り専門のコードレビュアー」のような新しいプリセットの設計をエージェントに指示でき、設定の下書き、マウント、保存までやってくれます。

プロファイルとパッチ:dsh プロセスの組み立て方

実行中の dsh は プラグインツリー です。Cordis のプラグインシステムが、固定の順序で積み重なる設定レイヤーから組み立てられます。

  • Bundles ―― 公式がまとめて配布するプラグインのセット。
  • Profiles ―― 自分のマシン上で名前を付けて管理する構成。
  • Patches ―― 自分専用のオーバーライドレイヤー。任意のプラグインエントリー 1 つをピンポイントで置き換えられます。

上位レイヤーが下位レイヤーを上書きします。だからプラグインの「インストール」とは、プロファイルやパッチファイルに一行追加することを意味します。各プラグインのリポジトリにインストール方法が書かれています。この積層設定は、実質的に順序付きの cordis.patch.yml のスタックです。

組み込みのパッチレイヤーは、エージェントの着せ替えシステム と考えるとわかりやすいでしょう。エージェントがどんな能力を「まとう」かを決める層です。パッチを通じて次のことができます。

  • ローカルの Codex や Claude Code をサブエージェントとしてマウント し、ハーネスから委譲する
  • ツール追加、外部サービス連携、実行権限の調整、全文検索の有効化を行うプラグインを導入する
  • UI モジュールを交換する ―― インターフェース自体もプラグインの集合です
  • ルールを JavaScript 式で定義 し、能力の適用を条件付きにする(「このリポジトリでのみ」「このファイルタイプのみ」など)

エージェントプリセットと 4 つのモード

UI 上部のモードセレクターは Agent Preset を選ぶものです。プリセットとは、このセッションのエージェントが何であるかの完全な定義 ―― ツール、システムプロンプト、スキル、サブエージェントの構成まで含みます。

  • Standard ―― デフォルト。完全なプログラミングアシスタント。タスクを理解し、コードを編集し、コマンドを実行して結果を確認します。
  • PTC ―― プログラマティック・ツールコーリング。Standard の全機能に加え、モデルが多数のツールを一括で呼ぶ短い TypeScript プログラムを書けます。ループも条件分岐も並列実行も可能で、最終出力だけがコンテキストに入るため、機械的な多段タスクが速く安くなります。
  • Minimal ―― 永続ターミナルと基本的なテキスト置換ツールのみ。単純な編集、ベンチマーク、学習用途向けです。
  • Creation ―― Standard の全機能に加え、実行中ランタイムの検査、メモリ上でのプラグイン試行、創作タスク用プリセットの利用ができます。新しいプリセットの下書き・マウント・保存も可能です。モデルが書いたコードを実行するので、シェルアクセスと同じ感覚で扱ってください。

セッションは内容が入った時点でプリセットがロックされます。途中で切り替えると、履歴にある過去のツール呼び出しが解釈不能になるためです。

エージェントの動作の仕組み

処理は ステップ(1 回のモデルリクエストと、それが発行するツール呼び出し)と ターン(タスク開始から完了までの一連の実行)で構成されます。ステップの前、ツール実行の前後、モデルリクエストの前 ―― あらゆる要所がインターセプトポイントで、プラグインがそこで承認・書き換え・ログ・ブロックを行えます。

セッションログ は、モデルが見るものすべてを追記専用で記録します。システムプロンプト、思考の連鎖、ツール呼び出しと結果、コンテキスト注入、サブエージェントとのやり取りまで。セッション再開、自動タイトル付け、コンテキスト圧縮、セッション横断検索はすべてこのログが支えています。

また、エージェントは 行動前に計画を立てる こともできます(計画は先にあなたが承認します)。タスクリストの管理や、判断が必要なときに質問してくることも可能です。

セーフティモデル

  • サンドボックス ―― read-onlyworkspace-writedanger-full-access の 3 段階。OS ネイティブの隔離機構(Linux は bwrap/Landlock、macOS は Seatbelt、Windows は ACL 制限トークン)を使い、約束した隔離を実際に提供できたかどうかをバックエンドが正直に報告します。
  • 承認(アプルーバル) ―― リスクのある操作は事前に確認します。厳しさはプリセットのポリシーレベルで調整できます。
  • ガード ―― タイムアウトしたツールを中断し、反復ループを検出するプラグインがあります。
  • シークレットはログに残らない ―― 認証情報は別チャネルを通り、ログには参照だけが記録されます。

5 つの使い方

  1. Web UI ―― チャット、承認、モード、設定のためのローカルブラウザインターフェース。
  2. Headless CLI ―― 1 タスクを実行して終了。CI/CD と相性がよい形態です。
  3. Python SDK ―― ランタイム同梱。高レベルの turns API と低レベルの JSON-RPC。
  4. TypeScript SDK ―― JSON-RPC プロトコル。深い統合用のサーバーとクライアント。
  5. ACP サーバー ―― Agent Client Protocol。エディタやツールベンダー向けです。

MCP にも対応しています(任意の MCP サーバーが組み込みツールと同じパイプラインに接続できます)。また、hooks ブリッジによって Claude Code / Codex のフックスクリプトもそのまま動きます。

プラグインの出番

「すべてがプラグイン」なので、コミュニティはすでに数百のプラグインを作っています。UI スキン、タスクステータスバー、メモリシステム、デスクトップペット、ミニゲーム、ディープリサーチのオーケストレーターなど。プラグイン一覧で実際に存在するものを見るか、プラグイン開発ガイドで自分で作ってみてください。

よくある質問

DeepSeek にエージェント型コーディングはあるの? あります。DeepSeek Harness が DeepSeek のオープンソースのエージェント型コーディングへの回答です。完成品のコーディングアシスタントを出すのではなく、その下のランタイムを提供します。ツール、権限、セッションの記憶、エージェントループがすべて交換可能なプラグインツリーです。DeepSeek のモデル(または任意の OpenAI 互換エンドポイント)と組み合わせれば、フル装備のエージェント型コーディング環境になり、ローカルの Codex や Claude Code にサブエージェントとして委譲することもできます。

DeepSeek Harness は無料? ハーネス自体はオープンソース(MIT)です。料金が発生するのは、接続先のモデル API だけです。

dsh は Claude Code や Codex の代替? 厳密には違います。完成品のエージェントではなく、自分で組み立てるエージェントランタイムです。それらのツールをサブエージェントとしてマウントすれば、置き換える必要もありません。

「すべてがプラグイン」とは実際どういう意味? ツール、UI、承認ポリシー、エージェントループ ―― どんな能力でも、追加・交換・削除が設定変更で済むということです。部品レベルの見方は dsh プラグインとは を参照してください。

次に読む

DSH Plugins は DeepSeek Harness プラグインの独立したコミュニティ ディレクトリです。DeepSeek との提携・公認はありません。サードパーティ製プラグインはセキュリティ監査を受けていません。インストール前にソースコードをご確認ください。

DeepSeek Harnessの新着プラグインを毎週お届け。スパムはありません。